「天皇の戦争責任」で番組が凍りついた「ハマコー発言」

 


 「では聞きますが、東条英機をはじめ、大東亜戦争は昭和天皇の裁可なしに遂行できたんですか?」。 ハマコーこと浜田幸一・元衆議院議員( 77 )の発言に、スタジオは凍りついた。 昭和天皇の戦争責任論 ―― 歯に衣着せぬハマコー氏が、そこに斬り込んだのである。

 昭和天皇が、 「A級戦犯合祀に不快感を待っていた」 という日経新聞の “スクープ” 以来、小泉首相の靖国参拝問題は、さらに注目を集めることになった。
 「昭和天皇があんなことを仰るわけがない」
 「いや、陛下はA級戦犯合祀に反対だった」
 「陛下のこれまでのご発言と矛盾が大き過ぎる」
 …… かまびすしい議論が続く中、8月15日朝、小泉首相は靖国参拝を果たし、報道は、ほとんどこの問題一色に塗りつぶされた。
 16日のTBS 『朝ズバッ!』 も、参拝問題を取り上げ、毎日新聞特別編集委員の岸井成格氏が、
 「戦没者の慰霊施設に総理大臣は当然行くべきです。 ただ、今の靖国には、A級戦犯だけでなく、遊就館の問題もあり、戦争を正当化するような考え方がある」
 と主張すると、ハマコー氏が岸井氏をキッと睨み、
 「だとすれば、( 東条らは )昭和天皇の裁可なしに戦争を遂行したんですか? あの明治憲法の中で、大東亜戦争の遂行が( 天皇の裁可なしに )できたんですか?」
 と、食いついた。 さらに、 「赤紙一枚で “天皇万歳” といって死んでいった人間に対する哀惜の情をどう表現すればいいのか」 と怒りをブチまけたのだ。
 凍りつくスタジオ。 実は、ハマコー氏は、7月31日のテレ朝 『TVタックル』 でも、こんな発言をしていた。
 「大東亜戦争を始める時に、天皇陛下の御裁可を仰いだ。 その時、それを諒として陛下が御裁可した。 つまり天皇の命令によって、300万人が死んでいったんです。 命令を下した人間が裁かれなくて、命令を実行した人間だけが裁かれるなんて、おかしいじやないか」




 確かに、最終的に戦争遂行を裁可した昭和天皇が、戦争責任を負って死んでいった “股肱ここうの臣たち” ( A級戦犯 )が合祀されているのを 「不快だ」 などと仰るはずがなく、また仰るべきではない、という意見があるのは当然だろう。
 「ハマコーさんの発言は、今回の富田メモに端を発する一連の騒動の本質を突くものだと思います」
 と、田久保忠衛・杏林大学客員教授がいう。
 「明治憲法下では、天皇の一切の法的責任を免責する “無答責条項” が盛り込まれていましたから、法的には昭和天皇に戦争責任はありません。 しかし、だからといって、戦争の責任をA級戦犯に押しつけるようなことは口が裂けても言ってはならないでしょう。 そもそも、あの富田メモというのは、どういう文脈の中で出た発言かも分らず、それが本当に天皇のご発言なのか、あるいは正確に写したものかどうかも分らない。 その分析をしなければならない段階で、あんな断定的な解釈がなされ、それを大手マスコミが垂れ流したのです。 ほんの1ミリ程度の誤差が歪曲されて大きなものになってしまった可能性は極めて高い。 ならば、自分の親族は一体誰のために死んだんだ、というハマコーさんのような意見が出てくるのは、当然なんです」
 富田メモは、いまだに日経新聞が独占し、全体が公表されることなく、A級戦犯分祀派に都合よく “政治利用” されている
 勝手な解釈を何よりもお怒りなのは、当の昭和天皇ご自身だろう。 ハマコー氏の大胆発言は、まさにその急所を突くものだったのである。